1 相続開始(被相続人の死亡)
被相続人がタイ国内で死亡した場合、最初に在タイ日本国大使館(領事部邦人援護担当)に連絡し、公的な手続きについて指示を仰いでください。
病院で死亡した場合は病院から死亡診断書が発行されますので、最寄りの区(郡)役所に提出して死亡登録証(มรณบัตร)を取得してください。相続手続きで使用する重要な書類ですのでなくさないようご注意ください。
合わせて、死亡の事実を知った日から3カ月以内にタイ国内の日本国大使館もしくは総領事館、または被相続人の本籍地の市区町村役場に提出してください。
日本国内で死亡した場合は戸籍謄本(または除籍謄本)が死亡の事実を証明する書類となります。
2 遺言書の調査
タイでの相続は日本同様、被相続人の意思(遺言)が何よりも優先されますので、まずは遺言書の有無を確認しましょう。
遺言書には法定相続人以外の方への遺贈や法定割合とは異なる分割方法が指定されていることがあります。遺言書がない場合、基本的には法定割合に基づいて分割されることになります。
3 相続人の特定
相続人の調査をしていくといままで知らなかった事実が発覚したり、まったく面識のない相続人が現れたりすることがあります。被相続人が離婚や再婚をしていれば、元配偶者との間の子や再婚後の配偶者や子が相続人となりますし、認知、養子縁組というケースもあります。国際結婚をした相続人のうちの一人がすで死亡しているため、外国人の子が代襲相続するケースもありますが、どこにいるかもわからないということもあり得ます。
4 相続財産の特定
被相続人名義の相続財産を特定できる書類を探しましょう。預金通帳や不動産権利証等の原本を紛失している場合もありますので、遺品やパソコン、スマホ等のなかに手がかりがないか探してみてください。特に最近は通帳レスの銀行口座も増えてきましたので注意が必要です。主な相続財産は以下の通りです。
- 銀行預金
- コンドミニアム
- 有価証券(株式・投資信託等)
- ゴルフ会員権
- 自動車・二輪車
- その他
5 裁判所に相続手続きの申し立て
相続人や相続財産が特定でき、すべての書類が揃ったら、裁判所に相続手続きの申し立てを行います。
タイの相続手続きは原則、相続執行者がすべての相続手続きを行います。この相続執行者は裁判手続きで選任され、裁判所発行の審判書に基づいて相続手続きを行うことになりますので、重要な手続きとなります。
6 相続・遺産分割手続き
裁判所から審判書が発行されてようやく具体的な相続手続きの開始です。相続財産によって手続きが異なりますので、銀行預金であれば銀行、コンドミニアムであれば管轄の土地事務所に出向いて手続きを行なっていくことになります。
- 銀行口座の解約手続き
- 不動産の相続登記手続き
- その他の相続財産の相続手続き