手続き

 タイの裁判所に相続手続きの申し立てを行い、相続執行者を選任します。裁判所は不動産の所在地を管轄する裁判所となります。

 裁判所から相続執行者が選任された後、選任された相続執行者が不動産の相続登記(不動産の名義を相続人に変更する登記手続き)を行うことができます。手続きは物件を管轄する土地事務所で行います。

相続登記

 手続き上は、被相続人から相続執行者に名義変更したうえで、さらに相続執行者から相続人に名義変更するという二段構えになり、権利証裏面の権利部の記載も二段となります。

1段目=売買により前所有者から被相続人に所有権移転
2段目=相続に関する裁判所審判により被相続人から相続執行者に所有権移転
3段目=相続により相続執行者から相続人に所有権移転

登記費用

 相続登記にかかる登記関連費用は、通常の所有権移転登記と比べて緩和措置が講じられています。

被相続人と相続人の関係登記費印紙税所得税特別事業税
通常の売買の場合2%0.5%課税所得に応じて3.3%
直系尊属から直系卑属0.5%0%0%0%
配偶者間0.5%0%0%0%
その他2%0%0%0%
土地局資料より抜粋

  通常の所有権移転登記にかかる登記関連費用は「タイ不動産登記費用」をご参照ください。

売却する場合の注意

 相続登記後、第三者に売却した場合は通常の登記費用がかかりますが(5年以内での売却に場合でも特別事業税の課税なし)、短期間で売却する場合は所得税が高くなりますので注意が必要です。

(事例)土地建物・評価額が3,000,000バーツのコンドミニアムを売却した場合

所有期間11234510
土地建物・評価額3,000,0003,000,0003,000,0003,000,0003,000,0003,000,000
控除費用(50%)21,500,0001,500,0001,500,0001,500,0001,500,0001,500,000
控除後の課税所得(1年あたり)1,500,000750,000500,000375,000300,000150,000
所得税(1年あたり)247,50072,50035,00022,50015,0007,500
所得税(所有期間分)3247,500145,000105,00090,00075,00075,000
土地局ウェブサイトより試算
  1. 所有期間は暦年で計算します。例えば、1月に所有を開始して同年12月に売却した場合の所有期間は1年ですが、12月に所有を開始して翌年1月に売却した場合、所有期間は2年となります。 ↩︎
  2. 相続、贈与の場合、控除費用は土地建物・評価額の50%となります。 ↩︎
  3. 上記試算はバンコク都、パタヤ市、テーサバーン(地方自治区)、その他法律で指定された行政区内に所在する不動産が対象となります。それ以外の地域は別途緩和措置が受けられます。 ↩︎

 上記試算の通り、所有期間が短いほど所得税額が高くなります。なお、所得税額は土地局ウェブサイトで試算したものですので、あくまで目安とお考えください。

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